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あの屈辱の日から半月が過ぎようとしていた。
あれ以来、悠里は身体を売ることを含め、他人と寝ていない。
それはあの男に忠告されたからでは決してない。
悠里は元々セックスと言う行為に対してはかなり淡白だ。
人並みの快感は得ていると思うが意識が飛ぶほどの快感を得たことはないし、いくら身体を繋げても挿入されるときの苦しみは和らがない。
それでも男とセックスをするのは、その瞬間だけでも他人に必要とされている一種の充足感からだ。
――だけど潮時だな…。
この前のように跡を付けられるようなことがあれば少々面倒だ。
物欲もない悠里は最近の若者のように無駄遣いもあまりしない。
通帳を見ればかなりお金が入ってるはずだ。
――真面目に仕事を探すか。
そう新たな決意を立てた悠里に一本の電話が掛かって来た。
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