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ヌース国の一つの街中
――タタタタタタタッ
黒く、小さな影が人を避けるように走る…
―――タタタタッ
それを追うように人を避けながら、同じ道を影が通る…
前の影が曲がれば、後ろの影も同じく曲り。前の影が塀の上などに登れば、後ろの影も登る。
そんな事を繰り返していると、ある一本道の路地裏に入った。
前の影は変わらず走り続ける。
後ろの影は走りながら、徐々に足に電気がまとわり始める。
そして―――
後ろの影「シッ!」
短く息を出すと同時に今までの何倍もの速さで翔けた。
そして、前の影に追いつくと同時に、その影を抱き上げ、
後ろの影「………やっと、捕まえた」
静かにそう言った。
前の影「ナ~」
抱き上げられた影、小さな黒猫は抱き上げた影、シェイルに向けて鳴いた。
シェイル「……帰るよ。クライアント(依頼人)が待ってる……はず」
そう言ってシェイルは、街道に出て、金色の髪をなびかせながら歩いて行った。
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