0人が本棚に入れています
本棚に追加
少年「一つはこのまま、俺に殺され、短い人生を終わらす道……」
少年は解りきった道を提示し、
少年「そしてもう一つは……おまえが俺のところに来る道だ」
もう一つは思いもよらない道だった。
少女は驚いて、少年を見上げた。
少女「……な……ぜ……」
少年「ん?」
少女の声は小さく聞こえなかったのか、少年は聞き返した。
少女「なぜ……私を……殺さずに救う……殺しに……来たんでしょ……?」
そう言った少女を少年は見ながら答えた。
少年「…………似てるんだよ、昔の俺に…………」
少女は不思議そうに少年をみていた。
少年「……俺も戦争で親亡くして、お前みたいになってたんだよ……残ったのは親父が使っていた刀だけ。その他はみーんな無くなっちまった……」
少女は驚いていた。この少年が自分と同じ境遇だとは思わなかったのだろう。
少年は空を見上げながら思い出すように話した。
少年「そして、盗人まがいなことをしつつ、暮らしていたんだよ。今のお前のように…………だけどある日転機が訪れた……俺のような馬鹿を徹底的に直してくれるお人好しの馬鹿がな…」
少年は空を見ていた目を少女に向けた。
少年「まぁ、それが俺の武の師匠なんだが……俺は拾われて、育てられ、今の生活になったんだよ……本当に、お前も見てると思いだすよ……生きようと我武者羅に動いてた自分をな…」
少年は話しきった後、少女の前に手を差し伸べた。
最初のコメントを投稿しよう!