名のない手紙

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閉店を迎えた22時、カウンターを拭いて明日の仕込みをする。 ~♪ 携帯電話の着信音に肩が跳ね上がり、慌てて電話に出た。 「はいっ」 「…もしもし、悠さんですか?」 「はい…」 声を聞いて思い出す、今朝の電話相手。 「今、大丈夫でした?」 「はいっ」 また、心臓が高鳴る。 電話越しに聞こえてしまうくらいに。 必死に深呼吸を繰り返した。 「悠さん、」 「はい?」 「私、そちらに行きたいです」 「…は?」 激しく打ち続けていた心臓の鼓動が、一瞬止まった気がした。 ,
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