名のない手紙

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訳が分からなくなり、兎に角言葉の理解に努めた。 「あの…っダメですか?」 「ま、待って!待って。ちょっと、よく分からない。もう少し分かりやすく、かみ砕いて説明して貰わないと…」 彼女の勢いに乗せられ、安易に頷いてはいけないと、僕は慎重だった。 「取り敢えず、こっちに旅行に来たいって事ですか?」 「ええ、そんなところです」 「ここ、本州から随分遠いですよ?」 「構いません。どんなに北でも、南でも行きます。」 彼女の言葉に躊躇いとか、揺るぎは無かったように聞こえた。 知り合って直ぐに、こうまでも事が進む事が不思議で、疑わしかった。 ,
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