名のない手紙

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大体、手紙は大切な人とか想いを寄せた人、つまりある一定の人物に宛てて書くもので、誰でもいい人に手紙なんて、おふざけ以外では考えられなかった。 見なかった事にしようと破り捨てようとしたとき、紙に書かれた電話番号が目に止まった。 果たして、どうでもいい人、おふざけなんかで電話番号なんて晒すだろうか。 僕は破ろうとした手を止めて、もう一度紙を眺めた。 もしかしたら、この番号に電話をかけても繋がらないかもしれない。 でも、繋がるかもしれない。 僕は、何の為に、どんな想いを寄せてこんなことをしたのか、手紙に書かれた文の意味を知りたかった。 そして、もし本当に手紙が悪戯じゃないなら、『僕から見える海は一番綺麗だ』と言いたいと思った。 ,
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