釣り糸―彼の存在その1―

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「糸、引いてるよ」 突然、彼が言った一言。 その一言が私の脳に届くまで少し間があったが、 言ったことを理解した私は、 釣り糸の方へ視線を変えた。 釣り糸がかすかに引いているのが分かった。 私は少しあわてて釣竿を持ち、リールを廻した。 視線を元に戻したときには、彼はもういなかった。 これが、私が彼にあった一番初めだ。 その後、私はある事件をきっかけに彼と再会し、深い関わりを持つことになろうとは、 このときの私は もちろん知らない。
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