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帰り道で彼を見かけた。
タバコ屋の角を曲がろうとしている瞬間だった。
いつぶりだろう、
彼を見たのは。
私は、彼の後を追った。
タバコ屋の角を曲がると、
彼は大通りに出ようとしていた。
大通りに出ると左にまっすぐ歩いていく。
ここは、結構人通りも多い。
しかしなぜか
彼の周りだけ人が自然と避けているような気がした。
それだけ、彼の歩みには余裕があった。
誰の影響も受けてないように。
彼自身、そんな雰囲気の人間だった。
私がはじめて彼を目にしたときも、
彼はどこか
別の世界にいるような印象を受けた。
それが私という世界と接触した。
その瞬間は今でも覚えている。
一瞬にして私の世界がまったく違う、別のものになってしまった感じがした。
彼の世界に飲まれていたのかもしれない。
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