捨て犬―彼の存在その3―

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なんか、 毎日がつまらなく思っていた。 勉強も人間関係もこれといって問題は無かったし、 バイトも順調で本当に充実した日々をおくっていると思うのに。 しかしそれが、逆に自分を詰まんなくさせた。 そんなことを思うのは贅沢なことなんだと分かっていたけど。 なにか、 何でもいいから 心が動くことが無いものかと いつも「何か」を探していた。 そんなときだった、 彼にあったのは。 学校からの帰り道、 土手のところで犬の鳴き声がした。 見下ろすと、すぐ近くでダンボールに子犬が捨てられていた。 白い毛の中に茶色い毛が少し、まだらに混ざっている。 犬の捨てられているところが 雨の多い日には増水して危険なところだったから、 場所を移すことにした。
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