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ダンボールを持ち上げたとき、
「あっ」
と声がした。
声のした方を見ると、
男が立っていた。
白いシャツに黒のジーンズをはいて、
赤っぽい髪の色をした少し幼い顔立ちの青年。
それが彼だった。
彼は、片手にビニール袋をさげていて、
ちょっと悲しいような、
でもうれいいような
複雑な表情で私を見ていた。
ああ、そうだ。
さびしそう
に彼は立っていた。
「その犬、君がもらってくれるの?」
彼は黙って見上げている自分にそう聞いた。
「え?・・・ああ、いや、
自分は飼わないよ。
ただ、ここ危ないから」
自分は、視線を犬に戻し、
ダンボールを持ち直した。
「そっか、ありがとう」
「? なんで、礼を言う?」
「あ、いや、別に・・・」
ただ、なんとなく・・と、最後の方はほとんど聞こえずに
彼は困ったように笑った。
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