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俺はとっさに叫んだ。
「おとなしくしねぇと警察呼ぶぞ!!」
(つか、最初っから呼ぶべきなんだろうな・・・)そんなことが頭の片隅をかける。
「「け、警察!?」」
無意味だと思っていたが、意外に効果があったみたいだ。
やつらは顔を見合わせると、すぐさま動いた。
少女は、身軽に俺の拘束をすり抜けると、人獣に飛びついた。
人獣は片手で少女を抱きかかえ、入ってきたときと同じベランダの窓を抜け、
柵にバランスよく乗った。
俺は、捕まえようと急いで駆ける。
もう少しで手が届きそうなところで人獣が俺を振り返った。
「ありがとさん。
食ったもんは返せねーけど。
礼はいつかすっから。・・・気が向いたときに」
(返す気ねー・・・)
言うとそのまま、ベランダから飛ぶ。
「あ、おいっ、ちょっとまてっ・・・」
落ちた、と思ったが違った。
やつらは下ではなくはるか上空にいた。
そのまま、ここよりも高い屋根の上に降りる。
また飛ぶ。
違う屋根に軽々と飛び移っていく。
そして、高いビルを超えると、陰に隠れて姿が見えなくなった。
いつの間にか雨は止んでいた。
「・・・・・・・って、マジで雨宿りかよ!?」
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