3/3
3345人が本棚に入れています
本棚に追加
/626ページ
  ピピピピピピ……   目覚ましの音がこだまする。 その音で目が覚めた。 全身はびっしょりと汗で濡れていた。   また、あの時の夢か。   あれが夢であってくれたなら、と願わずにいられないのに、あれは紛れもなく現実で、今もなお続く呪縛の種なのだ。 キッチンに行き、コップを棚から取るとそこに水を入れた。 ごくりと喉を水が通っていく。 その冷たい感触に、幾分か冷静になり、替えの下着をベットルームの棚から手にすると、バスルームに向かい、さらに冷静になるようにと汗を流し落とそうと、シャワーを浴びる。 汗が落とされるにつれ、夢の記憶を追いやっていく。 そうして、バスルームを出るころには、日常の状態に戻っていた。   郵便受けに挟まった新聞紙を手に取りつつ、キッチンに戻る。 そこに新聞紙を放りなげ、スーツを着ていく。 ネクタイ以外身に着けると、買っておいた食パンを焼き、バターを塗って頬張りながら新聞に目を通した。 けれど、今日はなかなか記事が頭の中にはいっていかない。   原因はわかっている。 あの夢だ。 あの夢を見る時は決まって……   前にもあの夢を見始めたことがあった。 そう、その時も、俺に……  
/626ページ

最初のコメントを投稿しよう!