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ピピピピピピ……
目覚ましの音がこだまする。
その音で目が覚めた。
全身はびっしょりと汗で濡れていた。
また、あの時の夢か。
あれが夢であってくれたなら、と願わずにいられないのに、あれは紛れもなく現実で、今もなお続く呪縛の種なのだ。
キッチンに行き、コップを棚から取るとそこに水を入れた。
ごくりと喉を水が通っていく。
その冷たい感触に、幾分か冷静になり、替えの下着をベットルームの棚から手にすると、バスルームに向かい、さらに冷静になるようにと汗を流し落とそうと、シャワーを浴びる。
汗が落とされるにつれ、夢の記憶を追いやっていく。
そうして、バスルームを出るころには、日常の状態に戻っていた。
郵便受けに挟まった新聞紙を手に取りつつ、キッチンに戻る。
そこに新聞紙を放りなげ、スーツを着ていく。
ネクタイ以外身に着けると、買っておいた食パンを焼き、バターを塗って頬張りながら新聞に目を通した。
けれど、今日はなかなか記事が頭の中にはいっていかない。
原因はわかっている。
あの夢だ。
あの夢を見る時は決まって……
前にもあの夢を見始めたことがあった。
そう、その時も、俺に……
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