その1

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俺の胸ぐらを掴み、低い声で凄んだ。 「起こすなっつったろ。一歩も歩いてねーお前の記憶力は鶏以下か?あ?」 鬼は此処に居ました。 「堂島に瀬田を起こせと頼んだんだ」 と、ここで救世主が現れた。 瀬田は視線をそちらへ移す。 理解したようで、俺の胸ぐらから手を離すと、 「ごめん」 ポンポンと、俺の頭を撫でた。 「いや…」 恥ずかしくなり、俺は俯いた。 あれ、なんか逆じゃないか? 「瀬田、英訳しろ」 鈴木は黒板を指差した。 其処には日本語が書かれている。 瀬田は頭を掻きながら、黒板の日本語を復唱していた。 「瀬田、寝る余裕があるんだから出来るよな?」 鈴木は嫌味を言っているが、それは瀬田と我妻以外に通じるものだ。
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