その1

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言い終えた瀬田は再び突っ伏した。 鈴木は何も言わなかった。 苦々しげに舌打ちして、授業を再開した。 「ん、よく寝たー」 瀬田は背中を伸ばしていた。 「なぁ、瀬田?さっきなんて言ってたんだ?」 俺が訊ねると、瀬田は興味なさそうに答えた。 「"先生の授業がつまらないからじゃありません。昨日夜更かししたから眠いんです。明日からはきちんと授業を受けます。今日の分のノートは誰かに見せて貰いますから、今日は勘弁してください"」 「…すげぇ。あ、じゃあノート見る?」 「要らん。あんたのノート汚ねぇから」 バッサリと切り捨てた瀬田は、俺の後ろの海崎にノートを頼んでいた。 確かに汚いけど、さ…。
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