その1

14/33
前へ
/33ページ
次へ
「さーて、俺も見に行こっと」 カズは頭の後ろで手を組んで歩き出した。 俺に振り返り、 「佳那汰は来ねーの?カノジョの活躍見れば?」 「行くよ、行く」 カズの隣に並んで、俺もグラウンドを目指す。 「卓弥が男だったら良かったのに」 カズの言葉に、俺は固まった。 呼び捨ての件は、カズがそういう男だから仕方ない。 「は?瀬田が男だったら?」 「そしたらチームメイトとして、一緒に甲子園目指したなぁって思ってさ。陸がキャッチャーで俺がショートは固定で…」 「…困る」 「え?」 「困るよ、それ」 瀬田を彼女に出来ないじゃないか。 俺にはそんな趣味は無い。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加