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「田中くん、ごめんなさい」
申し訳なさそうに、海崎は頭を下げた。
「好きな人が居るってこと…?」
田中に訊ねられ、頭を上げた海崎は、視線を落とした。
「ううん、居ないんだけど…」
海崎は田中に向かって、小首を傾げながら問うた。
「田中くん、たっくんに勝てないでしょ?」
「…たっくん?」
田中は眉をひそめた。
男の名が出てきた、と不満なのだろう。
海崎は気付かないのか、笑顔(あの笑顔に男はやられるんだろうな)で続けた。
「うん、たっくんに勝てないでしょ?」
「…そんなの、分かんないじゃん」
【あああー田中駄目だよー】
俺は勝手に慌てていた。
とにかく、二人より先に教室へ戻ろう。
・・
そして、彼女に伝えておかねば。
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