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「瀬田!」
教室に入り、開口一番に名を呼んだ。
本を読んでいた俺の彼女、瀬田卓弥が顔を上げた。
暗い茶色の髪のセミロングの、切れ長の目を持つ女の子だ。
めちゃくちゃ可愛い。
でも俺の彼女だから、そこんとこはよろしく。
「堂島、何?」
「今、海崎が告られてて…」
「あ、そう。つーことは来んのか」
本を鞄にしまい、瀬田は廊下を見つめた。
少しの間の後。
「たっくんっていうのは誰?」
田中がやってきた。
「あたし」
瀬田が立ち上がった。
田中は間抜け面で瀬田を見ている。
そりゃ女だったんだもんな、驚くよな。
笑顔を張り付け、海崎に訊ねる。
「海崎さん…」
「うん、たっくんだよ。卓弥だからたっくん」
「あ、そう…」
田中は苦笑していた。
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