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「たっくんのボール、打てる?」
突然の海崎の言葉。
「野球ってこと?」
にっこりと、海崎は頷いた。
「私、たっくんに勝てる人が彼氏が良いの。田中くんはたっくんに勝てる?」
事態を理解した田中は、瀬田に顔を向けた。
「俺と勝負してくれる?」
「いいよ、じゃあ昼休みにグラウンドで」
田中は了承し、自分のクラスへ戻っていった。
すると、
「たっくーん」
すぐさま海崎は瀬田へと駆け寄った。
「ちな、あたし投げんの今週三回目」
「ごめんね、たっくん。迷惑かけて」
項垂れる海崎の頭を優しく撫で、瀬田は微笑んだ。
「田中…だっけ?あいつと付き合う気無えんだろ?」
「うん」
「なら任せな。勝つから」
そういうの、男が言う台詞じゃないのか?
そう心の中でつっこみながら、俺は一時間目の用意を始めた。
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