その1

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そう言うと、瀬田は俺へと振り返った。 付き合い始めたばかりじゃないのに、胸が高鳴る俺。 「陸は?」 「ああ、我妻?寝てる」 俺が指差す先には、短髪の男子生徒。 机に突っ伏し、まさに死んだように眠っている。 「陸」 呼ぶと同時に、瀬田は我妻の机を軽く蹴飛ばした。 軽くでも痛いよ、それ。 ムクリと起き上がり、頭を掻く我妻。 ぼんやりと瀬田を見つめ、 「なに」 「昼休み、グラウンドな」 「ん」 そう言うと、我妻はまた突っ伏して眠り始めた。 野球部の朝練の後だからだろう。 瀬田も野球部だがマネージャーだから、疲れ具合は違うんだな、きっと。 自分の席(陸の前の席だ)に戻り、瀬田は再び本を読み始めた。 「りっくん、ごめんねー」 「いや、我妻もう寝てるから」 海崎につっこみ、俺は息を吐いた。 決戦は昼休み。 ま、その前に授業だ。
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