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そう言うと、瀬田は俺へと振り返った。
付き合い始めたばかりじゃないのに、胸が高鳴る俺。
「陸は?」
「ああ、我妻?寝てる」
俺が指差す先には、短髪の男子生徒。
机に突っ伏し、まさに死んだように眠っている。
「陸」
呼ぶと同時に、瀬田は我妻の机を軽く蹴飛ばした。
軽くでも痛いよ、それ。
ムクリと起き上がり、頭を掻く我妻。
ぼんやりと瀬田を見つめ、
「なに」
「昼休み、グラウンドな」
「ん」
そう言うと、我妻はまた突っ伏して眠り始めた。
野球部の朝練の後だからだろう。
瀬田も野球部だがマネージャーだから、疲れ具合は違うんだな、きっと。
自分の席(陸の前の席だ)に戻り、瀬田は再び本を読み始めた。
「りっくん、ごめんねー」
「いや、我妻もう寝てるから」
海崎につっこみ、俺は息を吐いた。
決戦は昼休み。
ま、その前に授業だ。
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