その1

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「別に怒ってねーよ」 瀬田は鞄に本をしまうと、俺へ顔を向けた。 「あたし今から寝るから、起こすなよ」 「え、今授業中…」 「起こすなよ」 「…うん」 俺は瀬田の眼力に負けた。 勝てる奴が居たら教えてくれ。 瀬田は机に突っ伏した。 俺の方へ顔が向いている。 【可愛い…】 惚れた贔屓目かもしれないが、本当に可愛い。 勇ましい性格とは反対の、可愛いらしい寝顔に俺は見とれていた。 にやけそうになる口元を隠しつつも、見つめるのは止めなかった。 すると、 「瀬田!寝るな!」 英語教師の怒声が聞こえた。 瀬田はまだ夢の中。
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