20人が本棚に入れています
本棚に追加
桜舞う夜、姉が居る小さなお墓に行く
菊の華の匂いがツンと鼻がくすぐったくなった。
ゆっくりと歩く私は坂に差し掛かり小さくため息をついた、私はこの長い坂が嫌い。
着物で歩く上に長い坂
「‥でも、この上には絶景が広がってるのよね」
にこりと一人で百面相をしなが先程とは違う、軽やかな足並みで階段を登り鼻歌を歌う
小さい頃歳の離れた姉が嬉しそうに歌っていた。
《――さんはな、この歌好きなんやて‥私も好きなんや》
肝心の名前の部分が分からない‥
何て言っていたっけ?
コロン
カラン
微かに響く下駄の音、
さらりと吹く静かな風
私は桜が舞い散るのを姉と重ねて見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!