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ある日、僕らの喧嘩をする姿を見て呆れた母は、スーパーで特売だった3個入のプリンを買ってきた。
いつもなら袋入りのお菓子を買ってくるのに、袋に入っていたのは、あまり買うことのない3個入のプリン。
僕らはあまり食べることのないプリンを目の前に、物凄く喜びを感じていた。
それはもう、物凄く…
例えるなら、海賊のキャプテンが獲ってきた秘宝を見て、目をキラキラさせる子分に近いだろう。
「(まさか…こうやってプリンを一人占めすることになるとは、ねぇ…)」
昔の思い出に浸りながら、僕は目の前にある、空になった宝箱を見つめた。
大人になった僕らは、それぞれ実家を離れ、独立している。
幼かったあの頃の様に、プリンを取り合うことなんて、これから先、無いに等しいだろう。
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