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目の前を通り過ぎていく人々は、それぞれに行く先があるのだろう。
手に持っているものや身につけているもの、その際の表情……。
それらを見てその人が何をしている人で、これからどうしようとしているのかぼんやりと考えるのが、いつの間にか僕のちょっとした習慣になっていた。
どういう訳かそんなことを考えるのが楽しくて、毎日を仕事で明け暮れる僕にとってそれは一種の息抜きとなった。
そして今日もドーナツをひとつ食べ終え、カフェオレをすすりながらそれに勤しむことにした。
あの人は急いでどこへ向かおうとしているのか。
あの娘達は肩から大きなエナメルバッグを下げて……何か部活でもやっているのだろうか。
あの二人組はあんなに楽しそうにして、何をしようとしているのか。
そこまで考えて、僕は鮮やかな黄色のマグカップから口を離し、それを受け皿に置いた。
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