87人が本棚に入れています
本棚に追加
「とっとと起きなよ、アリス。こっちは暇じゃねーんだよ」
ガッ!!!
「いっ…でえぇぇぇぇえ!!?」
浮上しかけた意識が、少し高い声を聞き取る。
その直ぐ後に高頭部に酷い痛みを感じた。
はい、強制的に俺の意識は覚醒しました、痛いです。滅茶苦茶痛いです。
いつの間にか横たわっていた俺は、酷く痛む頭を擦りながら上体を起こした。
目の前には白くて細い、華奢な脚。
そのまま視線を上げて行くと、真っ白で大きな兎耳と太陽の光を浴びてキラキラ輝く銀髪が目に入った。
頭の何処かで綺麗だなあ、何て冷静に考えていたら、目の前の大きな真紅の瞳が不快そうに歪んだ。
「やっとお目覚め?駄目アリス。
時空移動だけで気を失うなんて、やっぱり最近の人間はひ弱なんだね」
「……ハイ?」
聴き慣れない単語が聴こえた様な気がするけど、まあそれは今はどうでもいい。
つかさっきこのチビ、
「ダメアリスたぁどういう事だよ!!
つか見るからにお前の方がひ弱そうじゃねえかチビ!!」
「人を見た目で判断するから駄目なんだよ、駄目駄目餓鬼アリス!」
どうやらこの兎の方が一枚上手だったようです。
.
最初のコメントを投稿しよう!