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「え?でもさっき『不思議の国のアリス』になぞらえて創られたって……」
「今までこの国には名前が無かったんだよ。
そして大昔この国に迷い込んだ男がこの世界をモチーフに物語を書く。
作者の名前は『ルイス・キャロル』出来た物語が『不思議の国のアリス』。
なぞらえたって云うのは、不思議の国ってところだけだね」
「………何と無くこの国については分かった。
でもさあ、ココは一体何処にある国なんだ?」
さっきと比べたら随分痛みが引いた頭を軽く撫でながら、辺りを軽く見渡してみる。
見えるのは四方八方辺り全体木、木、木。
元居た場所に似た感じだけど、何か雰囲気が違う。
何かこう、暗くてジメジメしてて、背筋がぞくりってする感じ。
白兎は面倒臭そうにその紅い瞳を細めた。
と、同時に大きな兎の耳が微かに揺れる。
「……ココは君が居た世界の何処でもないし、何処にも存在しない。
簡単に言えば、異世界」
言い終わると白兎は銀の銃を手の中で回し、慣れた手付きで俺にその銃口を向けた。
「―――は?えっちょっ、なにすんだっ!?」
パンパンパンッ!!!
白兎は俺の言葉に耳を傾けることなく、俺の背後を撃った。
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