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――――うしろ?
瞳を閉じる隙も無く、とてつもない速さで銃を放った白兎。
小さな身体に似合わないその動作に、俺は思わず自分の目を疑った。
聴こえた銃声は三発分。
三回俺の後ろを撃ったと云うこと。
「………またあのにゃんこか。相変わらず盗み聞きがお好きな様で」
「え?にゃんこ?」
目の前に居る白兎は、既に拳銃を腰に着けてあるホルスターにしまっていた。
皮肉やら嫌味やら、よく分からない事を吐き捨てながら。
「にゃんこって……何処にもいないぞ?」
さっき白兎が撃った場所を振り返る。
俺の後ろにあった大木に綺麗に三発分の銃痕があった。
………大木サンすいません。
嫌、俺がやったわけじゃないんですけど、スイマセン。
「にゃんこだもの。逃げ足が速いのは当たり前だ」
「にゃんこにゃんこって……相手は猫なんだろ?
一々気にしてたら神経擦り切れるぞ」
「そりゃあどうも。でもにゃんこだから気にしないといけないんだよ。
どこぞの駄目アリスと違って頭もキレるし経験豊富」
「お前本当、その皮肉屋なトコどうにかしろよ。
はっきり言って顔とのギャップがありすぎてキツイ」
あ、可愛い顔が綺麗に歪んだ。
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