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「まあ、苦労する事には変わりないと思うけど」
「おいそりゃどういう――――」
もうその場には、白兎の姿はなかった。
ローラーブレードを履いて居た筈なのに、タイヤの後すら残っていない。
この不思議の国に来る前と、同じように。
「……なんなんだよ、一体」
変なコスプレしてるなとか思ってたら本物の兎耳と尻尾だし。
銃をあんなに素早く撃てる餓鬼だし。
銃で頭殴られたと思ったらそこは不思議の国だし。
「て云うか、何で俺ココに連れて来られたんだ?」
白兎はそれが役目だと言っていた。
でも、役目だけで俺を普通連れてくるか?
大体この広い地球で、『アリス』って云う名前の人間が何人いると思ってんだよ。
俺だって確かにアリスだけど、わざわざ俺みたいな男子高校生にしなくたってよくないか?
「…最初から、俺目的だった、とか?」
そこまで考えて自分の考えを自分自身で否定した。
ないないない、それは絶対ない。
白兎の云う所ではココは異世界。
だったらこの世界から云う俺が住んでた世界もまた、異世界。
何で異世界の人間が異世界の人間の事を知ってるんだって云う話になる。
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