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顔はよく見えなかったけど、多分男だ。
チェックの黒のスーツと膝丈上くらいのズボン履いてたし。
えーと…あれ、ローラースケーター?だっけ?
「って、いやいやいや、そこじゃないだろ俺!」
道端で一人自分にツッコミを入れる高校生………うん、傍目から見れば痛い奴だろうな、うん。
どこか遠いところでそう考えながら、俺はアイツの耳とか尻尾以上に気になることがあった。
それは、アイツが慣れた様子で手でいじっていた銀の拳銃。
「………これは暇潰しになるかも」
ここは銃を所持できる英国。
誰が銃を持っていようと不思議じゃない。
けれど見た感じ、さっきの兎野郎は俺より三つくらい年下ぽかった。
そんな餓鬼が銃を見せ付けて、猛スピードで走り抜けていく。
これはもう何かあるに違いない。
そう結論付けた俺はイヤホンをむしり取って、小さくなる兎の後ろ姿を追い掛けた。
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