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俺を見上げてくる兎は、呆然と俺を凝視している。
真紅の深い色のでかい瞳が、俺の事を映していた。
「お兄さん…本当にアリスなの?
本当にあの『アリス・リデル』?」
「どのアリス・リデルかは分からないけど、俺は確かにアリス・リデルだ」
「………」
俺がそう言うと兎は俯むいて、何か小さく呟いた。
小さすぎて俺には聴こえなかったけど。
でも一体なんなんだ?
あんなに殺気を滲出してた奴が、急にこんな風に大人しくなるなんて。
確かに男でアリスってのは可笑しいと思うけど、だからってこんな風に静かになるわけないし。
て言うか、『あのアリス・リデル』って何?
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