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「――ぃみお様! メイミオ様! 朝でございますよ!」
毎朝、この声で現実に引き戻される。
ピーピーピーピー煩いのよ。
私をなんだと思ってるの?
一国の王女なのよ。
メイミオは甲高い侍女の声によって、夢から抜け出した。
「ひばり……もう起きてるわ」
ヒバリと呼ばれる侍女は銀色の羽を持った、まさしく鳥のヒバリの姿をしている。
しかし、普通のヒバリと異なるのは羽の色が異なるだけではない。
「起きていませんわ! まだ横になっているではありませんか!」
どこにそんな肺活量があるのか、と疑問に思う程の大きな声を発し、メイミオの漆黒の絹糸のように輝く髪を引っ張りながら、翼を羽ばたかせ、何度も枕元から飛び立ち、起き上がらせようとしている。
その痛みに耐えかねたメイミオは、眉間に皺をよせ、ついに枕から頭をあげた。
「痛いわ! 乙女の象徴に何するのよ! なんで普通に起こせないの? 起きてるって言ってるでしょう!」
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