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「わ~……。
すっげえ、ふかふか~……」
俺は、目の前のふさふさした白い大きなものに顔を埋めた。
すると、不本意そうな声が上から降ってきた。
「おい、こら。
いくら私の毛並みが絹のように滑らかで美しく、憧れるのは分かるが……」
一旦そこで切ると、声はくわりと牙を剥いた。
「そんなにすりすりするな!
ええい、せっかくの毛並みが乱れるわ!」
「そのくらい寛容に見てくれよ。
お前は俺の……」
「配下ではないぞ!!」
再び吠えるそれに、俺は呆れたように小さく苦笑した。
別に、俺は“配下”とは思ってないんだけどな……。
それを言っても納得してくれる相手ではないから、結局は言えないままなんだけれど。
胸中でそう呟いてから、俺はこっそりと溜息をついた。そうしてから、それを見上げる。
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