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「なあ、白銀(しろがね)」
白銀、と言うのはこいつの名前らしい。
何と呼んだらいいか尋ねた時、こいつは一瞬遠い昔を思い起こすような目をしてから「白銀と呼べ」と短く吐き捨てた。
だが、口調に似合わずそう言った時の目が優しそうに見えたから----俺はその名はとても大切なものなんだと思っている。
「何だ?」
「埋めるのがダメなら……」
俺はくるりと頭の向きを変えると、枕のように頭を白銀の身体に預けた。
「これならいい?」
「……………好きにしろっ」
諦めたのか、白銀は噛み付くように言い捨てた。
その様子が何だかおかしくて、俺は声を立てて笑った。
白銀はギロリと睨んでくるが、そんなのお構いなしだ。
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