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それから順調に時間は過ぎ、帰りのHRが始まる時間、麗奈が急に教室を飛び出した姿を視線が捕らえる。
「な、なに…?」
余程不思議な顔をしていたのか、クラスメートが何人か事情を説明しに近寄ってきた。
「姫咲さん、麗奈さんが隣の男子校のファンクラブ会長をやってるの知ってる?」
「あー…そう、ですね」
知ってるも何も、その件であたしは麗奈の存在を知って、正体は秘密にしてるけど今に至るんだから。
「それなら話が早いや。何だかね、普段はこっちが相手にされないんだけど…何故か今、その人達がうちの校門の所に集まってるんだって!」
「へぇー…ぇええ!?」
ま、待った待った!それはつまり、琉斗達が此処に来てるって…そういう事!?
「姫咲さん?どうかしたの?」
「あ、あたし…ちょーっと用事思い出したから先帰るね;」
「えっ?ひ、姫咲さん!」
鞄を手に、麗奈と同じくあたしも廊下を駆ける――と、途中の角を曲がった辺りで誰かにぶつかる。
「い…ったーい」
尻餅をつきながらそう言う少女は、朝に見掛けた日本人形…基政治家の娘と噂の少女だった。
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