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「ごめん、立てる?」
少女に手を差し延べると、その手を数秒間見て自分1人で立ち上がってしまう。
「…千鶴[チヅル]大丈夫?」
どうやら少女の名前は千鶴と言うらしく、友達は心配する――が、言葉を返す事等せずに歩いていってしまう。
感じ悪っ!想像以上に"政治家の娘"ってのを使ってるみたい…っと今はそれ所じゃないんだった。
少女に一瞬だけ視線を向けると再び校門に向かって走り出す。
「う…っわ!何?この人の数」
校門には呆れを通り越して、最早尊敬に値する程の信念を持った人の群れがあった。
有り得ないでしょ、普通。たかだか何人かの男の為にこんなんになってまで会いたいだなんて―…。
そこまで考えると、己の足は急に進む事を止め動かなくなる。
あたしがあの場に行くと、当然奴等は話し掛けてくる訳で、そんな姿を見られたら……うわ!面倒臭い!
今ならまだ誰にも気付かれていない為、そろーっと音を立てずに来た道を戻ろうとすると、急に低く甘い声が降ってくる。
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