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「この車、動かせるかも?」
浅田は男を車から引き摺り出すと運転席へ座った。
僕も同じく女を引き摺り出すと助手席へと座る。
シートやフロント硝子、更にはハンドルにまで血が飛び散っていて車内は真っ赤に汚れていた。
「さぁ~て。行きますか!」
エンジンをかけ車を発進させる。
浅田は興奮した様子で、アクセルをめいいっぱい踏み、どんどん加速させていく。
途中、信号が黄色から赤に変わったが、そんな事はお構い無しに無視して突っ走る。
「なぁ、このまま商店街を暴走って良くない?」
「良いね。良いね。」
そのまま車はスピードを落とすことなく商店街へと進入した
やはり商店街には人が沢山いる。
僕たちの乗った車は子供も大人も自転車に乗る人間も次々と轢いていった。
「浅田、お前最高!」
僕は、浅田の肩に軽く手を置き讃えた。
「あ~。やっぱ暑いわ!なぁ、エアコンつけてよ」
そうだ気温は36℃超え。
僕も浅田も汗ばんでいた。
エアコンのスイッチに手をのばす。
ボタンを押すと違和感を感じた。あれ?……つかない?壊れているのか?
「うわぁ~エアコン、壊れたみたい……」
「マジで?じゃあ、そっちの窓開けてくれよ。」
窓を開けると遠くの方からサイレン音が聞こえる。
ルームミラーを覗くと、後方からパトカー1台が追いかけて来るのが見えた。
「おい!後ろ、…後ろからパトカー来てるぞ?」
「あっ本当だ。どうする?」
「そりゃ…もちろん。だろ?」
僕は浅田に合図をする。
ここで立ち止まる訳にはいかない。
ゲームは始まったばりなんだから。
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