8人が本棚に入れています
本棚に追加
背後の常闇から突如伸びてきた漆黒の鎖。
それはまるで大蛇を連想させる動きでミクの体の自由を奪う。
「クッ!こんなの…」
しかしミクの瞳に宿る青白い勇気の灯火は漆黒の大蛇を消し炭に変えてしまった。
そこからはまさに一進一退の攻防戦。
魔王の放つ炎や鎖は全て勇気の灯火かレーザー砲で打ち消され、ミクの放つレーザーは魔王の回りの邪気の炎に遮られて届かない。
終にはミクが膝をついてしまった。
勇気の灯火も蝋燭程の大きさになっている。
「ハァ……ハァ……」
『その程度か……つまらん。』
「クッ、ここで御仕舞いなの?」
諦めかけたその時。
(だめ。諦めないで!私が奴を止めるから!自分を信じて、ミク姉ぇ!)
「!?……あっ…ああっ!!」
上げた視線の先にはボロボロの体にもかかわらず魔王の下で両手を広げているリンの姿が……
突如、魔王の回りの炎が勢いを失い消えていった。
同時にリンの体にも限界が来たのだろう、小さな小さな光になって消えかけていた。
(お姉ちゃんは一人じゃないよ……いつだってどこだって私が見守っている。だから……)
頑張って!!!
《一人じゃないよ》
《声を上げて泣いたって構わない》
「う……うぅ……ううあああぁぁぁ!」
ミクの目から大小様々な大きさの涙が絶えず流れ落ちる。
リンはまだ助かる可能性があった。
しかし彼女は力を使い命と引き換えにミクを助けたのだ。
自分の不甲斐なさを嘆くミク。しかしすぐに涙を拭いて力を失った魔王を睨む。
「貴方を討って……この物語に終止符を打つ!」
そう言った瞬間瞳の灯火は一気に膨れ上がる。
「ハアァァァ!」
レーザー砲を空高く投げ飛ばす。
同時に自分も刀を上段で構え走り出す。
レーザー砲の砲身がまるでサテライトの様に変形する。
最大まで貯められたレーザーがミクの刀を目掛け放たれる。
刀はその光を受け、一回り大きな刀身へと変貌する。
巨大な光刀を両手で持ち、飛び上がり振り下ろす。
『ウガァァァァ!』
大地を揺るがす咆哮と共に魔王の体は塵へと化した。
最初のコメントを投稿しよう!