その言葉だけで

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「なぁアッシュ お前今なにしてんの?」 シェリダンの街で只一人ルークは宿の一室から、空に向かってそう呟いていた。 幾ら頑張っても、回線は繋がらない。 「…ちぇ」 数分した後、ルークはふてぶてしく舌打ちをすると、後ろにあったベッドに飛び込んだ。 (…会いたいな) 天井を見上げている内に、段々激しい眠気が襲ってきた。 どうして返事してこないんだ? 彼の事だから、用事でもない限り回線は繋いでこないだろう。 分かっているから、余計に淋しい。 ルークは頭の中でこんな事を考えていた。 (…アッシュ…アッシュ…アッ…シュお前は…きっと俺なんか嫌いなんだな…) ルークは、半寝状態でうっすら目に涙を浮かべている。 (だって…俺ばっかりお前のこと沢山想っても、反応すらないじゃないか) ベッドに倒れこむ前、ルークはアッシュにこんな事を話しかけていた。 …一人ごとだが。 (なぁ…アッシュ?アッシュ聞こえてるか…?…俺な………) 君が好きだと 何回も何回も 伝えたつもりだったのに 繋がっている筈の君の姿は無くて。 気配すら感じ無くなってた… 「…なんでだよ!アッシュ!」 アッシュ…アッシュ…アッシュ… ルークは呼び続けた。けれど返事はなくて。 涙までが零れ出した… アッシュ… そうしている内に、泣き疲れたルークは眠ってしまった。 まだ頬には涙の跡がうっすら付いていた。 …そのルークの髪を優しく撫でる青年が一人。 愛しそうにルークの目の涙を拭うと、一瞬ためらったがルークに話しかけた。
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