かざぐるま

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ーーかざか! うん?なに…? ーーお前と会えて、楽しかった、本当に… ありがとな、おまえといると、わくわくして…。もうこうやって会うこともないんだよな、元気でな…! ふふっ、なにそれ。 わたしもう死んじゃうみたいじゃん! またあえるよ…きっとね! ーーかざか!またな! うん、6年間本当にありがとう!私も楽しかったよ! ーーーーーーーーーーーーーー 授業は耳に入るどころかうまく耳をよけて通り過ぎていく。 退屈。授業なんかに何の意味がある? 授業中の唯一の楽しみは、窓の外を見ることだ。風に舞うさくらのはな。 たかい空に流れる雲。 おれはこんな狭い教室の中で何をしているんだろう わからない。 俺は幸せになれるのか、ここで頑張っていれば。 いや、ここに俺の幸せはない おれの幸せは、あの頃からとまったままだ 毎日がきらきらと、鮮やかに彩られてーーーーー 今の俺はもぬけのからのようだ おれの世界はとっくに色を無くしてしまった なぜ生きているかもわからない ーーでも おれはいつでも目の前に描き出すことができる 絵の具だけは持っているんだ あの頃の色を使って、鮮やかに眼前に描き出すことができる。 まあただの思い出の思い出しなだけだけど。 今だって、気付けば頭が考えてた。 馬鹿じゃないか、もう6年も前の話だっていうのに いまでも色褪せないでーーー おっと、やっぱり俺はここにいるべきではない。 思い立ち、授業中だがお構いなしに俺は教室を飛び出した。階段を下り、外に出た。空を仰いで、決めた。 あいつに会いに行こう。 どこにいるかは知らない。 どんな容姿かも、しらない。 だけど、あいたい。 会ってもう一度、話したい。 楽しく笑えたらそれでいい。 よし、探しにいこう。 空を仰いだ。世界は心なしかいつもより鮮やかに見えた。
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