正体不明

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「棗君、洗濯物見てきてくれる?」 養護施設の先生が、 慌ただしそうに小さな子を抱えて動き回っている。 『あっ、はい。』 この養護施設で一番大きい俺は、 先生のお手伝いをしなければならない…。 庭に出るために、 靴を履く。 今日は、 良い天気だ。 洗濯日和と言うには、 もってこいである。 俺は、 洗濯カゴを持つと庭に出た。 養護施設の庭には、 洗濯干しの竿が二本とブランコがあるだけの狭い庭だ。 俺の住んでいる養護施設は、 下は0歳から上は俺の16歳までの7人で生活している。 ここにいる子は皆、 様々な事情を抱えてやって来た子ばかりだ。 もちろん俺も、 その内の一人だが…。
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