無料で地獄巡り体験

9/16
前へ
/111ページ
次へ
僕はちらっと沙羅の方を見る。二人倒したらしく、足元に男が転がっている。 そして、振り返る。 「死ね……ジャッジ!」 久藤さんが鉄パイプを振り上げた。 「沙羅!!」 逃げるように沙羅の方に駆け出す。 「なんだよ今忙し……って、え?」 僕は沙羅を抱き抱え、フェンスを蹴破り屋上から飛び降りた。 「何してんだっ!?さくら、桜!」 別にパニックで気が狂ったとかそんな訳ではない。 「これぞ、空翔ける少年!!」 降下して空中で足を窓のところに引っかける。 そして三階の窓から校舎内の廊下に入った。 「フィールドが不利だったからね」 屋上は今居る三階の上。 「じゃあ、この廊下で戦うっていうのか?」 「そうだよ。ほら、追い掛けてきたようだ」 少し不利な位で、負けることは絶対に無いが……細い道でバッタバッタと敵を薙ぎ倒すのは気持ちが良いもん。 「はぁ……はぁ……っ、小賢しい真似しやがって!」 走ってきたらしく、教室に入ってきた時に声を張り上げたリーダー格が息切れしている。 「一般生徒も見てるけど、仕方ないか」 僕は大ちゃんの仲間だという不良の軍団の中へ突っ込んでいった。 ★ 三十秒で決着は着いた。無論、僕の勝ちで勝負は終わった。。 「沙羅、終わったから戻ろうよ」 「いや、まだだ……桜、避けろ!!」 慌てて後ろを振り向く。しまった、またコイツを忘れていた。 「今度こそ、ジ・エンドです」 ドガァッ!久藤さんの持っている鉄パイプが、僕の肩に直撃。 もちろん頭は回避したから肩なのだけども。 「ちっ、頭には当たりませんでしたか。次は外しませんけど」 「…………」 痛い、敵の攻撃が命中したのは久しぶりだ。 いいねぇ、この感じ。 「あはは……ははっ」 「な、何がおかしいんですかっ!」 笑う僕に久藤さんが叫んだ。 滑稽だねぇ、珍しく焦ったりしてさ。 「久藤さん。やって良い事と悪い事があるんだよ。後、敵は考えた方がいいね」 ドゴォッ!!僕のボディブローが決まり、久藤さんが倒れ込む。 鉄パイプは久藤さんの手から離れ、からんからんと音を立てて近くの階段から落ちていった。 「さ、戻ろう。あっ、先生。後処理よろしく」 「…………」 偶然通った先生はこちらをちらっと見た後、何も見なかったような顔をして通り過ぎていった。 うーん、大丈夫かな。全員放置しといて。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

959人が本棚に入れています
本棚に追加