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僕はちらっと沙羅の方を見る。二人倒したらしく、足元に男が転がっている。
そして、振り返る。
「死ね……ジャッジ!」
久藤さんが鉄パイプを振り上げた。
「沙羅!!」
逃げるように沙羅の方に駆け出す。
「なんだよ今忙し……って、え?」
僕は沙羅を抱き抱え、フェンスを蹴破り屋上から飛び降りた。
「何してんだっ!?さくら、桜!」
別にパニックで気が狂ったとかそんな訳ではない。
「これぞ、空翔ける少年!!」
降下して空中で足を窓のところに引っかける。
そして三階の窓から校舎内の廊下に入った。
「フィールドが不利だったからね」
屋上は今居る三階の上。
「じゃあ、この廊下で戦うっていうのか?」
「そうだよ。ほら、追い掛けてきたようだ」
少し不利な位で、負けることは絶対に無いが……細い道でバッタバッタと敵を薙ぎ倒すのは気持ちが良いもん。
「はぁ……はぁ……っ、小賢しい真似しやがって!」
走ってきたらしく、教室に入ってきた時に声を張り上げたリーダー格が息切れしている。
「一般生徒も見てるけど、仕方ないか」
僕は大ちゃんの仲間だという不良の軍団の中へ突っ込んでいった。
★
三十秒で決着は着いた。無論、僕の勝ちで勝負は終わった。。
「沙羅、終わったから戻ろうよ」
「いや、まだだ……桜、避けろ!!」
慌てて後ろを振り向く。しまった、またコイツを忘れていた。
「今度こそ、ジ・エンドです」
ドガァッ!久藤さんの持っている鉄パイプが、僕の肩に直撃。
もちろん頭は回避したから肩なのだけども。
「ちっ、頭には当たりませんでしたか。次は外しませんけど」
「…………」
痛い、敵の攻撃が命中したのは久しぶりだ。
いいねぇ、この感じ。
「あはは……ははっ」
「な、何がおかしいんですかっ!」
笑う僕に久藤さんが叫んだ。
滑稽だねぇ、珍しく焦ったりしてさ。
「久藤さん。やって良い事と悪い事があるんだよ。後、敵は考えた方がいいね」
ドゴォッ!!僕のボディブローが決まり、久藤さんが倒れ込む。
鉄パイプは久藤さんの手から離れ、からんからんと音を立てて近くの階段から落ちていった。
「さ、戻ろう。あっ、先生。後処理よろしく」
「…………」
偶然通った先生はこちらをちらっと見た後、何も見なかったような顔をして通り過ぎていった。
うーん、大丈夫かな。全員放置しといて。
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