4人が本棚に入れています
本棚に追加
―― 前線基地付近 ――
三人の軍人が、数人の少年少女と対峙していた。少年達は軍人を睨み、軍人はそれを見下すかのように眺めている。
「……はぁ? 手前ェら誰に口聞いてんだ?」
体格の良い、それでいて人相の悪い兵士がガムを噛みながら少年達に言い放つ。
まだ中学生らしい少年は彼を睨みつけるようにこう言った。
「僕達はただ、小名浜にいる友達を助けて欲しいだけなんです!
なのに何でこんな仕打ちを……」
彼のその言葉を遮る拳!
「うぜぇよ。助けて欲しいだぁ?
俺達はテロリスト殺すための軍なんだぜ? なんで他人助けなきゃなんないんだ?」
「あ……貴方達なんて人なの!?」
少女が目に涙を溜めて訴えるが、軍人達は嘲笑している。
「見ての通り軍人だよ。公然と人殺せる仕事さ」
軍人の一人が拳銃を抜き、引鉄を弾く!
銃声と共に、銃弾が少女の横30cmの地面に着弾!
脅える少女をわざと外すかのように、兵士は口元に笑みを浮かべながら数発撃つ!
銃声と死の恐怖に、震える少女。
無力さをかみ締める少年達。
そして、それを嘲る兵士達。
体格のいい兵士がこう口を開いた。
「そうだな。助けてやってもいいぜ。その代わり、ただとは言えんがな」
なにやら物を乞うように手を差し出し、醜く笑う軍人。
(……どうして? どうして力ない者だけが泣かなきゃいけないの……?)
少女の失望が涙となって地面に落ちる。
まさにその時である!
最初のコメントを投稿しよう!