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白マフラー男は蒲生に連行され、彼に倒された兵士も意識を取り戻すと同時に彼の後を追い、その場には数人の少年少女がその背中を唖然と見守っていた。
「……一体、何をしにきたんだ?」
「判らない、ただ、私たち助かったの?」
その時、先ほど兵士に殴られた少年がその身を起こし、こう呟く。
「どうでもいいよ。統合軍だってあいつだって、所詮は自分のエゴを満たしたいだけなんだ!
誰も人を助けようと思ってないんだ、こんな時代……!」
他の少年達の間に沈黙が流れる。
「でも春斗くん、あの人が来てくれたお陰で助かったのよ」
「うるさい! 何がヒーローだよ! そんなの単なるカッコ付けで、結局何も出来ないじゃないか!」
その言葉に、その場にいる5人の少年達は既に日本ではない小名浜地区を見つめていた。
そんな折、彼らの耳にスクーターのエンジン音が響いてきた。
それは彼らに近づいたと思うと、突如止まった。
「ねぇ君たち?」
スクーターに跨っていたのはつなぎを着た若い女性であった。年齢で言えばまだ17~18と言った所だろうか?
つなぎを着た女性は彼らにこう聞き始めた。
「人を探しているんだけど」
春斗と呼ばれた少年を除いて、彼らはつなぎの女性の方に視線を移す。
「この辺で、白いマフラーを首に巻いた、なんだか……『濃い』と言うか、『馬鹿っぽい』というか……なんかそんな感じの若い男を見なかった?」
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