開業

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少なすぎる資金。 乏しい知識。 力を貸してくれるような知人も無し。 スタートから壁にぶち当たった状況だった。 場所を借りようとしても、若いからと保証人が必要となる。 国金や銀行から融資を受けようと申請しても門前払いされる始末。 完全に世間の厳しさを舐めていた。 ありがたい事に仕事の注文は入ってくるのだが、場所や設備が整ってないから受ける事が出来ない。 ストレスとジレンマに悩まされる日々。 日ごとに減っていく資金。 待たせすぎだと離れていくお客さん。 まさに負のスパイラル。 どうしようもなかった。 自分のプライドも恥も、何もかも捨てて 父親に頭を下げた。 期間を定めた約束で、使っていない父親の工場の一部を賃貸して貰うことができた。 我が父親にも罵倒され、自分の力の無さを痛感し、初めて人に甘えて生きて来ていたことに気付いた。 他に方法がなかった。 本意ではなかったが、これで何とか場所が確保できた。 最低限の設備と材料を準備して開店。 気が付くと22歳の誕生日を迎えていた。
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