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    「わざわざここまで運ばなくてもいいのに…」 「………されたくなかったら、 早く起きろ、全く」     思わず呟いた独り言に、 対面式の広くないキッチンから、思いがけなく返事が返ってくる。   優留はモゴモゴと口ごもり、目を泳がせた。     そんな小さい頃から変わらない優留の仕種に、留火はやわらかく笑みをこぼす。     出会った時のことなど、覚えているのだろうか… 最近留火はそんな風に思うようになった。     優留の好きなパンケーキの焼き具合を見ながら、留火は8年前に思いを馳せた。  
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