844人が本棚に入れています
本棚に追加
シャツの裂け目から、大きな引っ掻き傷と、血液が固まったあとが見える。
椅子に座ったシドと会話をしながら、留火は一階にある自室から薬箱と、自分のシャツを取って来ると、床に膝を着いてシドの手を取った。
「!…なんです?」
「怪我してる…手を出せ」
「あぁ、大丈夫です、舐めとけば治りますから」
「……治療くらいさせてくれ、
私は他に…何も出来ないから。
……………ありがとう、シド」
心の底から、ありがとうを言う。
この男がいなかったら…
この家は、この周辺はどうなっていたかわからないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!