*7*

2/11
前へ
/139ページ
次へ
    シャツの裂け目から、大きな引っ掻き傷と、血液が固まったあとが見える。   椅子に座ったシドと会話をしながら、留火は一階にある自室から薬箱と、自分のシャツを取って来ると、床に膝を着いてシドの手を取った。     「!…なんです?」 「怪我してる…手を出せ」 「あぁ、大丈夫です、舐めとけば治りますから」 「……治療くらいさせてくれ、 私は他に…何も出来ないから。 ……………ありがとう、シド」     心の底から、ありがとうを言う。 この男がいなかったら… この家は、この周辺はどうなっていたかわからないのだ。    
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

844人が本棚に入れています
本棚に追加