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    狼は痛みを伴って、一晩で成長する。 それをトラウマにしない為に、本能に戻るのだろう、と言われているのだと、昼食を食べながらシドが教えてくれた。   知ってしまったから、優留の成長が尚更痛々しく感じる。     夕陽のオレンジ色を浴びて、 昨日の朝まで仔犬のようだった優留の顔が、大人のそれに変化しているのが見えた。   それでも、まるっきり変わってしまったのではないらしく、 瞬きをしている表情などは、どこか面影があって…壊れそうで、儚くて、愛おしい。     見つめていた留火は、そっと屈んで目元に口を寄せると、流れる甘い涙を吸い取った。  
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