844人が本棚に入れています
本棚に追加
狼は痛みを伴って、一晩で成長する。
それをトラウマにしない為に、本能に戻るのだろう、と言われているのだと、昼食を食べながらシドが教えてくれた。
知ってしまったから、優留の成長が尚更痛々しく感じる。
夕陽のオレンジ色を浴びて、
昨日の朝まで仔犬のようだった優留の顔が、大人のそれに変化しているのが見えた。
それでも、まるっきり変わってしまったのではないらしく、
瞬きをしている表情などは、どこか面影があって…壊れそうで、儚くて、愛おしい。
見つめていた留火は、そっと屈んで目元に口を寄せると、流れる甘い涙を吸い取った。
最初のコメントを投稿しよう!