*8*

3/13
前へ
/139ページ
次へ
    (なんで…こんな時にまで甘やかそうとするんだよ…)   滲む留火の顔を見ないよう、 ゴシゴシと短くなってしまった袖口で目を擦る。   と…。 いきなり腕を掴まれた。     「私の声は聞こえたか?  …何故そんな顔をする?」 「…聞こえてるよっ。 この顔は…この顔は生まれつきだもんっ、ほっといてっっ…」 「私の知ってる優留は、少なくともそんな、………今にも泣きそうな顔などしていないよ…」       (あんたに何がわかるんだよっ)   そう言うより先に、優留は留火に抱き寄せられていた。    
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

844人が本棚に入れています
本棚に追加