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「…え…ちょっ!留火さ…っ」
驚いた優留の声が、微かに震えている。
こんな優留の表情を見るのなら…
留火は苦しさに、自分が消そうとした想いを吐き出した。
「優留の哀しい顔を、見なければならないなら…。
シドの言うことなど気にせずに、お前に喰われていればよかったのかもしれない…」
「なに…それ。どういう…っ」
しっと耳元で囁かれて、更に身動きが取れなくなった優留の身体に回した腕を、留火がゆっくりと離す。
ようやく離れた身体に、優留が留火を見る。
そこには、初めて見る悲し気に笑う留火がいた。
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