第七章 ―離婚―

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  「もしもし?」 『は!?もしもし?誰?』 「誰ですか?」 『誰って、あんたこそ誰!?』 まぁ相手にしてみれば、恋人に電話したつもりがいきなり女が出たら不機嫌にもなるのだと思う。 彼女は知らなかったのだ。 まだ翔太が既婚者だという事を…… 「妻です。翔太の妻です」 『はぁぁ!?だって離婚したって……』 「してません。れっきとした戸籍上での妻です」 『……本当ですか?』 「はい」 おそらく、相手も冗談ではないと悟ったんだと思う。急に態度が変わったから。 私は翔太と付き合っているのか、好きなのかとはっきり聞いた。 返事はどれも曖昧だった。 二股ならいざ知らず、それが不倫ともなればそこに慰謝料が発生する可能性も出てくる。 もちろん、彼女はそれを知らされていなかった訳だし、そんなつもりも毛頭なかったけれど。 ただ真実が知りたかった。 だけど、結局その電話では分からなかった。 翔太が仕事に行く時間が差し迫っていた私は、最後の手段を取った。 チェック出来てないであろうメールがたくさんあるはず。 だから、自分のSDカードに送受信履歴をすべて保存した。  
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