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そのデータは、実は今でも残ってる。実家に帰ってきてからは一度も開けてないし、これから先も見る気はないけれど、何となく消去できずに居る。
そのメールを確認した私は泣きながら義姉と母親に連絡をした。
『もう実家に帰っておいで?』
NOという理由がなくなった。
そのメールの数々が、踏み出せなかった私の背中を勢いよく押し出した。
メールのやり取りでは曖昧なものも多く、想像でしかわからないものもあった。
だけど、確実に分かった事があった。
サクラという女性とは、横領が発覚する前から付き合っていた事。
つまり、キャバ嬢だからなんて理由は大ウソだった。
そして、彼女を2回妊娠させていた事――
1人目は、不倫が発覚した半年近く前の事で、下ろしたのか流産かは分からない。
だけど、2人目は、まさにその時妊娠していたんだと思う……
翔太の携帯に産婦人科が登録してあって、2,3日前に確かにそこに電話した履歴が残っていたから。
家族が粉々に砕け散るには、充分すぎるほどだった。
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