第七章 ―離婚―

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  そのデータは、実は今でも残ってる。実家に帰ってきてからは一度も開けてないし、これから先も見る気はないけれど、何となく消去できずに居る。 そのメールを確認した私は泣きながら義姉と母親に連絡をした。 『もう実家に帰っておいで?』 NOという理由がなくなった。 そのメールの数々が、踏み出せなかった私の背中を勢いよく押し出した。 メールのやり取りでは曖昧なものも多く、想像でしかわからないものもあった。 だけど、確実に分かった事があった。 サクラという女性とは、横領が発覚する前から付き合っていた事。 つまり、キャバ嬢だからなんて理由は大ウソだった。 そして、彼女を2回妊娠させていた事―― 1人目は、不倫が発覚した半年近く前の事で、下ろしたのか流産かは分からない。 だけど、2人目は、まさにその時妊娠していたんだと思う…… 翔太の携帯に産婦人科が登録してあって、2,3日前に確かにそこに電話した履歴が残っていたから。 家族が粉々に砕け散るには、充分すぎるほどだった。  
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